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プレスリリース一覧



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2018年2月9日

3層グラフェンにおける積層パターンの作り分けに成功
-グラフェンデバイス応用へ新たな道-

 東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の菅原克明助教、高橋隆教授、同理学研究科の佐藤宇史教授、名古屋大学大学院工学研究科の乗松航助教、同未来材料・システム研究所の楠美智子教授らの研究グループは、炭素原子が蜂の巣状に結合した原子シート(グラフェン)が3枚積層した3層グラフェンにおいて、2種類存在する積層パターン(ABAおよびABC構造)の作り分けに初めて成功しました。電子状態の精密な測定から、ABA構造をもつ3層グラフェンでは、質量ゼロの超高速電子(ディラック電子)が存在する一方、ABC構造ではディラック電子は存在せず、有限の質量を持つ自由電子的な電子状態が実現されていることを見出しました。この結果は、3枚重なったグラフェンの積層パターンを変化させることで、異なる電気的特性を持つグラフェンを作り分けることができる事を示しています。今回の成果は、グラフェンの積層構造を制御した高機能ナノデバイスの開発に大きく貢献するものです。

本成果は、平成30年2月9日(英国時間)に英国科学誌Nature系の専門誌NPG Asia Materialsのオンライン速報版で公開されます。

 本研究成果の一部は、新学術領域研究「原子層科学」および「トポロジカル紡ぐ物質科学のフロンティア」の科学研究費によるものです。

問合せ先:東北大学材料科学高等研究所 菅原克明 助教


2017年5月26日

隠れた物性情報を引き出す新しい電子顕微鏡技術の開発
~単原子層の電子透過率の広ダイナミックレンジ計測~

達博(物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点および統合型材料開発・情報基盤部門 情報統合型物質・材料研究拠点 研究員)と吉川英樹(同機構 表面化学分析グループ グループリーダー)は,田沼繁夫(同機構 特別研究員),塚越一仁(同機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 主任研究者),渡辺一之(東京理科大学 教授),丁澤軍(中国科学技術大学 教授)らを主とする研究グループとの共同研究により、電子ビームを使った顕微鏡において,電子のエネルギーがゼロに近い領域から高エネルギーまでの広いエネルギー範囲でナノ薄膜を一度に計測する新発想の汎用の分光顕微鏡技術 (注1)を開発し,その有効性を実証しました。

単色入射電子ビーム(注2)のエネルギーを変化させ電子光学系を再調整しながら電子顕微鏡像を計測する手間のかかる従来の方法ではなく,基板物質内で生成した広いエネルギー分布を持つ二次電子(注3)を仮想の白色電子源(注2)としてナノ薄膜を観察する発想を転換した新手法を開発しました。その実現にあたって,二次電子に含まれるバックグラウンド信号を完全に除去する必要があり,そのために天文学で望遠鏡の微弱信号の精密検知に利用されていた4点計測法を発展させてナノ薄膜に適用しました。それによりグラフェン(注4)の電子透過率(注5)をゼロに近い領域から600エレクトロンボルトまでの広い範囲で一度に計測し,その実測値が理論値と良く一致することを確認しました。二次電子の信号に隠れていたナノ薄膜の電子透過率と言う物性情報を引き出すことは,今回初めて報告されました。広いエネルギー範囲の可視光を使った物体の透過率特性は物体の”色”を意味していますので,広いエネルギー範囲で電子の透過率を求めることは,電子と言う”目”を使ってナノ薄膜の”色”を見ていることに相当します。(NIMS吉川英樹 博士の解説より)

 本研究成果は,2017年5月26日に"Nature Communications"のオンライン版に発表されました。

問合せ先:
国立研究開発法人物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 
塚越一仁 主任研究者


2017年5月26日

隠れた物性情報を引き出す新しい電子顕微鏡技術の開発
~単原子層の電子透過率の広ダイナミックレンジ計測~

達博(物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点および統合型材料開発・情報基盤部門 情報統合型物質・材料研究拠点 研究員)と吉川英樹(同機構 表面化学分析グループ グループリーダー)は,田沼繁夫(同機構 特別研究員),塚越一仁(同機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 主任研究者),渡辺一之(東京理科大学 教授),丁澤軍(中国科学技術大学 教授)らを主とする研究グループとの共同研究により、電子ビームを使った顕微鏡において,電子のエネルギーがゼロに近い領域から高エネルギーまでの広いエネルギー範囲でナノ薄膜を一度に計測する新発想の汎用の分光顕微鏡技術 (注1)を開発し,その有効性を実証しました。

単色入射電子ビーム(注2)のエネルギーを変化させ電子光学系を再調整しながら電子顕微鏡像を計測する手間のかかる従来の方法ではなく,基板物質内で生成した広いエネルギー分布を持つ二次電子(注3)を仮想の白色電子源(注2)としてナノ薄膜を観察する発想を転換した新手法を開発しました。その実現にあたって,二次電子に含まれるバックグラウンド信号を完全に除去する必要があり,そのために天文学で望遠鏡の微弱信号の精密検知に利用されていた4点計測法を発展させてナノ薄膜に適用しました。それによりグラフェン(注4)の電子透過率(注5)をゼロに近い領域から600エレクトロンボルトまでの広い範囲で一度に計測し,その実測値が理論値と良く一致することを確認しました。二次電子の信号に隠れていたナノ薄膜の電子透過率と言う物性情報を引き出すことは,今回初めて報告されました。広いエネルギー範囲の可視光を使った物体の透過率特性は物体の”色”を意味していますので,広いエネルギー範囲で電子の透過率を求めることは,電子と言う”目”を使ってナノ薄膜の”色”を見ていることに相当します。(NIMS吉川英樹 博士の解説より)

 本研究成果は,2017年5月26日に"Nature Communications"のオンライン版に発表されました。

問合せ先:
国立研究開発法人物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 
塚越一仁 主任研究者


2016年11月15日

カーボンナノチューブ膜による、
フレキシブルなテラヘルツ帯カメラを開発
-非破壊・非接触式の全方位画像検査を実現-

東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所の河野行雄准教授らの研究グループは、多数のカーボンナノチューブが集積化された薄膜を用いて、折り曲げ可能なテラヘルツ帯カメラを初めて開発しました。

テラヘルツ帯の電磁波計測は、近年、X線や超音波などとは異なる新たな非破壊・非接触検査技術として、産業・医療分野における様々な応用が期待されています。テラヘルツ画像化計測では、一般に様々な形状の物体に対応する必要があります。そのためには、複数の視野から画像化する全方位計測が必要ですが、従来のシステムでは大型化する問題があり、テラヘルツ帯画像化技術の適用範囲を狭めていました。

本研究では、カーボンナノチューブ膜によるフレキシブルテラヘルツ帯カメラを用い、注射器やペットボトルといった360度歪曲した物体に対しても、破損・異物混入を瞬時に撮像することに成功しました。また、人間の皮膚にウェアラブルテラヘルツカメラを装着し、人体のテラヘルツ画像観測を行うことも可能にしました。

本研究成果は、2016年11月14日に英国の科学雑誌「Nature Photonics」誌に掲載(DOI : 10.1038/NPHOTON.2016.209)されました。 本研究の一部は、文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「原子層科学」(JP16H00906)、ならびに科学技術振興機構「産学共創基礎基盤研究プログラム」の補助を受けて行われました。

問合せ先:東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 河野行雄 准教授 
E-mail: kawano@*** (***=ee.e.titech.ac.jp)


2016年11月9日

負の熱膨張を利用したグラフェン化に成功

名古屋大学大学院工学研究科の乗松航助教、中国内モンゴル民族大学の包建峰講師、名古屋大学シンクロトロン光研究センター伊藤孝寛准教授、名古屋大学未来材料・システム研究所の楠美智子教授らの研究グループは、グラフェンの負の熱膨張率を利用して、炭素原子バッファー層を900℃から液体窒素温度(-196℃)に急冷することによるグラフェン化に成功しました。

 グラフェンは負の熱膨張を持ちます。すなわち、加熱すると収縮し、冷却すると膨張します。一方、炭化珪素(SiC)をはじめとするグラフェンの基板材料は、ほとんど正の熱膨張係数を持っています。このことは、左図のようにSiC上に形成した、グラフェンとほとんど同じ構造を持つ炭素バッファー層を作製した試料を冷却すると、バッファー層は膨張し、SiC収縮します。すなわち、急冷処理を施すことで、バッファー層とSiCの結合が物理的に切断され、バッファー層がグラフェン化します。実際には、バッファー層試料を900℃に加熱し、-196℃の液体窒素中に投入して急冷することで、グラフェン化が起こりました。得られたグラフェンは、5x5mm2の基板全体にわたって非常に均一な単層グラフェンで、基板による歪みからも解放されており、正孔伝導を示すことがわかりました。さらに重要なことに、グラフェンの大きな問題であった、基板や界面層の原子の熱振動による電子の散乱が劇的に低減されていることも明らかになりました。

 さらに本手法では、絶縁性の基板であるSiCウェハ全面に、自立したグラフェンを作製することができます。従って、グラフェンのエレクトロニクス応用には非常に大きな貢献を果たすことが期待されます。

 本研究成果は、2016年11月8日付で米国科学雑誌「Physical Review Letters」オンライン版に掲載され(DOI: 10.1103/PhysRevLett.117.205501)、Editor’s Suggestionに選ばれました。(Synopsis:http://physics.aps.org/synopsis-for/10.1103/PhysRevLett.117.205501

本研究の一部は、文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「原子層科学」 (No.25107002,)の補助を受けて行われました。

問合せ先:名古屋大学未来材料・システム研究所 楠 美智子 教授
原子層科学によるプレスリリース記事
名古屋大学によるプレスリリース記事


2016年11月7日
原子配置制御による原子層金属・半導体の作り分けに成功
-超微細電子デバイス応用へ新たな道-

 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)の菅原克明助教、高橋隆教授、同理学研究科の佐藤宇史准教授、東京工業大学物質理工学院の一杉太郎教授、埼玉大学大学院理工学研究科の上野啓司准教授らの研究グループは、これまで知られていない正八面体構造を持つセレン化ニオブ(NbSe2)原子層薄膜の作製に成功しました。電子状態の精密な測定から、この物質が従来知られていた三角プリズム型の構造ユニットを持つ金属的NbSe2と異なり、電子間の強い相互作用の結果形成される「モット絶縁体」であることを見出しました。この結果は、同じNbSe2を用いても、局所構造のトポロジーを変化させることで、金属と半導体(絶縁体)を作り分けることができる事を示しています。今回の成果は、結晶構造の原子配置を制御した超微細原子層電子デバイスの開発に大きく貢献するものです。この研究の詳細は、平成28年10月28日(英国時間)に英国科学誌Nature系の専門誌NPG Asia Materialsに掲載(DOI:10.1038/am.2016.157)されました。

 本研究成果の一部は、新学術領域研究「原子層科学」および「トポロジカル紡ぐ物質科学のフロンティア」の科学研究費によるものです。

問合せ先:東北大学原子分子材料科学高等研究機構 菅原克明 助教
埼玉大学大学院理工学研究科 上野啓司 准教授


2016年10月12日
3次元集積化グラフェントランジスタの動作に成功
-従来比1000倍、軽量で省電力なデバイスに道-

東北大学大学院理学研究科・原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)の田邉洋一助教、谷垣勝己教授と陳明偉教授は、高橋隆教授、阿尻雅文教授、伊藤良一准教授、菅原克明助教、北條大介助教、越野幹人准教授(現大阪大学教授)、東京大学理学系研究科の青木秀夫教授(現東京大学名誉教授)らと協力して3次元ナノ多孔質グラフェンを用いたグラフェントランジスタの3次元集積化に成功しました。今回本研究グループは、3次元ナノ多孔質グラフェンを用いて電気2重層トランジスタを作製し評価した結果 (図1)、このトランジスタが従来の平面構造のグラフェントランジスタと比較して100倍高い伝導度の応答と1000倍高い電気容量を示すことが分かりました。3次元ナノ多孔質グラフェンはシリコン基板に比べて表面積あたりの重さが1万倍程度軽く、高い易動度から消費電力の低減が見込まれていることから、省電力かつ軽量・高性能なデバイス開発に寄与することが期待されます。

 本研究の詳細は、ドイツ国の科学雑誌「Advanced Materials」に2016年10 月11日に掲載(DOI: 10.1002/adma.201601067)されました。

本研究の一部は、文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「原子層科学」 (No.25107003, 25107005)の補助を受けて行われました。

問合せ先:大阪大学大学院理学研究科 越野幹人 教授
     東北大学大学院理学研究科 菅原克明 助教


2016年8月5日
全く新しい有機ナノチューブの簡便な合成に成功
~延ばして、巻いて、固めて、チューブの出来上がり~

 名古屋大学 大学院理学研究科、名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)、JST-ERATO伊丹分子ナノカーボンプロジェクトの伊丹 健一郎 教授、伊藤 英人 講師(原子層科学A01合成班)、前田 果歩 氏(大学院生)らを中心とする名古屋大学の研究グループは、有機分子からなるカーボンナノチューブに似た筒状の構造体「有機ナノチューブ」を、簡単な有機化合物からわずか2段階で簡便に合成する新しい手法を開発しました。

 有機ナノチューブは有機分子を基本骨格として筒状に組み合わせることで作られる新しいタイプの有機ナノ材料であり、カーボンナノチューブと異なる特性を示すナノチューブ構造体として近年大変注目されています。基本骨格の設計次第で半導体特性や導電性、分子認識、分子取り込み能といった機能を付与できるため、機能性材料としての応用が期待されています。特にカーボンナノチューブのようにチューブ全体が強固な共有結合でつながっている「共有結合性有機ナノチューブ」は、機械的強度や安定性の増加、光学物性や導電性などの向上が期待できるため魅力的です。しかし、これまで共有結合性有機ナノチューブの明確な合成手法は存在していませんでした。

同研究グループは、アセチレン骨格を含みかつ自発的にらせんを形成できるらせん高分子を綿密に設計・合成し、らせん高分子に光を照射するだけで一挙に架橋共有結合を構築して共有結合性有機ナノチューブをつくることに成功しました。「helix-to-tube法」と名付けられた新手法はらせん高分子の合成と光架橋反応のわずか2段階で簡便に共有結合性有機ナノチューブを合成することができます。

本手法を用いることにより、様々な骨格・機能をもつ有機ナノチューブ群を簡便に創製することが可能であるため、分子認識材料や導電性材料などへの応用が期待できます。また本研究は、原子層科学メンバーでもある京都大学エネルギー理工学研究所 宮内 雄平 准教授(A02物性班)、名古屋大学大学院理学研究科の北浦 良 准教授(A01合成班)らとの共同研究でもあります。

本研究成果は、2016年8月3日(米国東部時間)発行のアメリカ化学会誌 「Journal of American Chemical Society誌」のオンライン速報版で公開され ました。DOI: 10.1021/jacs.6b05582

問合せ先:名古屋大学大学院理学研究科 伊藤英人 講師
原子層科学によるプレスリリース記事
JSTによるプレスリリース記事


2016年7月7日
原子層物質・低次元半導体の熱電性能の理論が23年ぶりに更新

東北大学大学院理学研究科の研究グループ(Nguyen T. Hung (大学院生)、 A. R. T. Nugraha助教、E. H. Hasdeo (大学院生), M. S. Dresselhaus (MIT, 教授), 齋藤理一郎教授)は、熱電性能の理論を23年ぶりに更新し、より普遍的な概念を導入することに成功しました。

原子層物質のような2次元(もしくは1次元物質)は、閉じ込め効果(confinement effect) によって熱電性能(熱から電気を発生する性能)が高くなることが知られています。これは、1993年のHicks & Dresselhaus の理論的な論文によって示され、四半世紀にわたって、この理論にしたがって低次元物質に関して熱電性能が探索され、高い性能指数が得られてきました。しかし、物質を2次元や1次元にしても、性能が上がる物質と上がらない物質があり、その原因が良くわかりませんでした。今回発表した論文では、閉じ込めの大きさと、熱的ドブロイ波長を比較することが重要であることを示しました。閉じ込めの大きさが熱的ドブロイ波長より小さい時だけ、熱電性能が上がることを理論で示し、過去のすべての実験結果はこの結果に当てはまることを示しました。この理論が、今後原子層物質、ナノワイヤーの熱電性能の新たな指針になると思われます。

この研究の詳細は、米国の学術誌「Phys. Rev. Lett」に2016年7月7日に掲 載(DOI: 10.1103/PhysRevLett.117.036602 )されました。

問合せ先:東北大学大学院理学研究科 齋藤理一郎 教授



2016年6月3日
浮いたグラフェンナノリボンの大規模集積化合成に成功
~グラフェンデバイスの実用化に大きく前進~

東北大学大学院工学研究科電子工学専攻の加藤俊顕准教授、鈴木弘朗(同大学院生、日本学術振興会特別研究員)、金子俊郎教授らのグループは、東京大学大学院工学系研究科の澁田靖准教授、北海道大学大学院工学研究院の大野宗一准教授らとの共同研究により、次世代の超高性能電子デバイスに大きな貢献が期待されているグラフェンナノリボンのウェハースケールでの集積化合成手法の開発に成功しました。

グラフェンナノリボンは優れた電気輸送特性を持つことが知られていますが、実用デバイスに利用するための大規模集積化に大きな課題が残されていました。本研究では、独自に開発した手法によりセンチメーターオーダーの基板全面に1,000,000本以上のグラフェンナノリボンを90%以上の高効率で集積化合成することに世界で初めて成功しました。また、本手法で合成したグラフェンナノリボンは基板に接触しない架橋(浮いた)構造をとるため、優れた電気輸送特性に加え、ナノスケールの機械振動が可能であることから、これらを活用した新概念デバイスの実現にも大きな貢献が期待されます。

本研究成果は、2016年6月2日に英国科学雑誌Nature Communications(電子版) に掲載(DOI:10.1038/ncomms11797)されました。

問合せ先:東北大学大学院工学研究科 加藤俊顕 准教授



2016年5月20日
量子ホール状態にあるグラフェンを介した超伝導電流を初めて観測

米Appalachian州立大学のFrançois Amet教授、米Duke大学のChung-Ting Ke(大学院生)、Gleb Finkelstein教授、東京大学大学院工学系研究科のIvan V. Borzenets研究員、山本倫久講師、樽茶清悟教授、理化学研究所のRussell S. Deacon研究員らの研究グループは、理化学研究所創発物性科学研究センター、 物質・材料研究機構(谷口尚 グループリーダー、渡邊賢司 主席研究員)との 共同研究により、量子ホール状態にあるグラフェンを超伝導体で挟んだジョセ フソン接合を流れる超伝導電流の観測に初めて成功しました。この超伝導電流 は、グラフェンと超伝導体の界面の電子正孔混成モード(マヨラナモード)を 介してグラフェンの両方の端状態が関与するという、これまでは観測されてい なかった機構によるものです。本研究成果は、マヨラナフェルミ粒子やパラフェ ルミ粒子といった固体中のトポロジカル励起を観測するための重要なステップ です。研究の詳細は、米国の学術誌「Science」に2016年5月20日に掲載(DOI:10.1126/science.aad6203)されました。

問合せ先:東京大学大学院工学系研究科 山本倫久 講師、樽茶清悟 教授



2016年2月4日
グラフェンの超伝導化に成功
-“質量ゼロ”の電子が“抵抗ゼロ”で流れる-

 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の菅原克明助教と高橋隆教 授、および東京大学大学院理学系研究科の一ノ倉聖大学院生と長谷川修司教授 の研究グループは、グラフェンを超伝導にすることに成功しました。グラフェ ンは内部に超高速電子を持つことから、高速電子デバイス材料として大きな注 目を集めていますが、今回の超伝導化の成功により、その電子を“抵抗ゼロ” で流すことを可能にしたことで、超高速超伝導ナノデバイスへの応用開発がさ らに進むものと考えられます。 この研究の詳細は、米科学誌「ACS Nano」に 2016年1月29日に掲載(DOI: 10.1021/acsnano.5b07848)されました。

 本研究成果の一部は、新学術領域研究「原子層科学」および「分子アーキテクトニクス」の科学研究費によるものです。

問合せ先:東北大学原子分子材料科学高等研究機構 菅原克明 助教



2015年12月11日
電子・正孔対が作る原子層半導体の作製に成功
-グラフェンを超える電子デバイス応用へ道-

 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の菅原克明助教、一杉太郎 准教授、高橋隆教授、同理学研究科の佐藤宇史准教授らの研究グループは、グ ラフェンを超える電子デバイスへの応用が期待されているチタン・セレン (TiSe2)原子層超薄膜の作製に成功しました。さらに、1層のTiSe2超薄膜の 電子状態を詳細に調べた結果、その特異な金属状態を生み出している原因は、 薄膜中の電子と正孔(電子の抜けた孔)が結合して対(ペア)を作っているためで あることを見出しました。今回の成果は、グラフェンを超える原子層超薄膜物 質の物質設計と開拓に大きく貢献するものです。この研究の詳細は、米科学誌 「ACS Nano」に2015年12月1日に掲載(DOI:10.1021/acsnano.5b06727)されました。

 本研究成果の一部は、新学術領域研究「原子層科学」および「トポロジカル紡ぐ物質科学のフロンティア」の科学研究費によるものです。

問合せ先:東北大学原子分子材料科学高等研究機構 菅原克明 助教



2015年11月16日
二層グラフェンで「バレー流」の生成、検出に初めて成功
〜バレーを利用した低消費電力エレクトロニクスの実現へ〜

東京大学大学院工学系研究科の島崎祐也 (大学院生)、山本倫久講師、樽茶清悟教授らの研究グループは、理化学研究所創発物性科学研究センター、物質・材料研究機構(谷口尚 グループリーダー、渡邊賢司 主席研究員)との共同研究により、結晶の対称性を電気的に制御できる二層グラフェンにおいて、バレー流の生成、検出に初めて成功しました。

電子には、粒子としての性質と同時に波としての性質があります。一般に電子の波は様々な波長や方向を持ちます。しかし、一部の固体結晶中の電子の波は、いくつかの特定の波長や方向が安定な状態となります。そして、電子はこの特定の波長や方向によって区別できます。この自由度をバレーと呼びます。電子は負の電荷を持つため、電子が一方向に流れると電流が発生します。もし異なるバレーの電子が互いに逆向きに流れる(=“バレー流”が生じる)状況を作って互いの電流を相殺し、これを検出できれば、正味の電流をゼロに保ったまま、バレー流によって情報を伝達することが可能です。この情報伝達はジュール熱によるエネルギー消費を伴わないため、バレー流を用いた低消費電力エレクトロニクスの実現が期待されています。

研究グループは二層グラフェンにおいて電流をバレー流に変換し、電流の漏れ出しを無視できる程度の距離を伝送させた後、バレー流を電流に変換して、これに伴う電圧を検出しました。二層グラフェンを用いた本研究では、異なるバレーの電子に逆向きに作用する“実効磁場”の大きさを結晶の反転対称性の破れ具合を通じて電気的に制御しました。これにより、この“実効磁場”を利用した電流−バレー流変換の効率を広範囲で電気的に制御することが可能になりました。これは、バレー流を用いた低消費電力エレクトロニクスの実現に向けた重要な進展です。本研究の詳細は、英国の学術誌「Nature Physics」に2015年11月16日付けでオンライン掲載(DOI: 10.1038/nphys3551)されました。

問合せ先:東京大学大学院工学系研究科 山本倫久 講師、樽茶清悟 教授



2015年10月26日
グラフェンナノリボンによる紫外光のテラヘルツ変調
- テラヘルツ波発振素子の可能性をシミュレーション -
国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」 という)ナノ材料研究部門【研究部門長 佐々木 毅】材料界面シミュレーショ ングループ 宮本 良之 研究グループ長と、中国 四川大学 Hong Zhnag教授、 Xinlu Cheng教授、ドイツ マックスプランク 物質構造・ダイナミクス研究所 Angel Rubio教授は、グラフェンナノリボンが紫外光をテラヘルツ(THz)の周 期で変調させる作用があることをシミュレーションで発見した。この計算結果 から、テラヘルツ波発振素子への応用を提案した。
このシミュレーションは、紫外光がグラフェンナノリボンを通ると、その強度 がテラヘルツ周期で変調されることを計算したものである。変調された紫外光 を光伝導特性を持つ半導体に当てると半導体内にテラヘルツ周期で変調された 光電流が流れるため、それをアンテナに流すとテラヘルツ波の発振が可能にな ると予想される。これにより、有機物質の特定や生体観察などに利用できるコ ンパクトなテラヘルツ波発振素子を開発できる可能性が考えられる。
なお、このシミュレーションの詳細は、英国王立化学会の発行する雑誌 Nanoscaleに近くオンライン掲載される。

■ 本件問い合わせ先 ■
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
ナノ材料研究部門 材料界面シミュレーショングループ
研究グループ長   宮本 良之   
〒305-8568 茨城県つくば市梅園1-1-1 中央第2
TEL:029-849-1498 FAX:029-861-3171
E-mail:yoshi-miyamoto@aist.go.jp


掲載誌
〇日刊工業新聞(2015.10.28)
産総研など、グラフェンナノリボンに紫外光をテラヘルツ周期で変調させる作用を発見
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0720151028eaae.html
○日刊工業新聞 11月13日 朝刊6面
「グラフェンナノリボン 紫外光をテラヘルツ変調」
○科学新聞 11月13日 8面

2015年9月4日
“グラフェン”における電子の分配を世界で初観測!
~電子の波動性を利用した電子干渉デバイスの実現へ~

小林研介(大阪大学大学院理学研究科教授)と松尾貞茂(東京大学大学院工学系 研究科助教)は、小野輝男(京都大学化学研究所教授)および塚越一仁(物質・ 材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点主任研究者)らの研究グルー プとの共同研究により、金属と半導体の両方の性質を持つグラフェン中に形成 されたpn接合での量子ホール状態における電流ゆらぎを精密に研究し、pn接合 によって電子が接合の左右に分配される様子(電子分配過程:図1左上図を参 照)を、電流ゆらぎとして初めて観測することに成功しました。また、pn接合 がない際には、異なる量子ホール状態の接合があった場合でも電子が分配され ないことも同時に明らかになりました。
グラフェンは、特異な電子構造に起因する豊富な電子物性とその応用の可能性 のため、非常に注目を集めている物質です。今回、グラフェンに特有の電子分 配過程を実験的に検証した結果、これまでの理論が裏付けられました。このこ とは、グラフェンに対する理解が更に深まったことを意味し、グラフェンの将 来性を広げるものです。
今後、本成果が、グラフェンの持つ様々な電子の自由度(スピン自由度やバレー 自由度)に依存したユニークなpn接合での量子ホール状態の電子分配機構の解 明、pn接合を用いたグラフェン量子ホール状態の電子干渉素子の実現などに役 立つことが期待されます。本研究成果は、2015年9月4日(英国時間)に 「Nature Communications」のオンライン版(DOI: 10.1038/ncomms9066)に発表 されました。

問合せ先:国立研究開発法人物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
 塚越一仁 主任研究者




2015年6月30日
接合数の偶数・奇数で電流の流れが全く異なる新しい現象
注目物質“グラフェン”におけるパリティ効果を世界で初めて確立!

小林研介(大阪大学大学院理学研究科教授)と松尾貞茂(東京大学大学院工学系研究科助教)は、小野輝男(京都大学化学研究所教授)および塚越一仁(物質・材料研究機構主任研究者)らの研究グループとの共同研究により、金属と半導体の両方の性質を持つグラフェン注1(単層グラファイト)中に形成されたpn接合注2での量子ホール状態注3の輸送現象にパリティ効果注4があることを理論的に予測し、実験によって検証することに成功しました。グラフェンは、特異な電子構造に起因する豊富な電子物性とその応用可能性のため、非常に注目を集めている物質です。
このパリティ効果は、光学干渉計で起きる現象と強い類似性を持つため、今後グラフェンにおける量子干渉素子の形成における指導原理となることが期待されます。
本研究成果は、2015年06月30日に「Scientific Reports」に発表(DOi: 10.1038/srep11723)されました。

問合せ先:国立研究開発法人物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
 塚越一仁 主任研究者




2015年6月2日
原子層高温超伝導体を開発

  東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の菅原克明助教、高橋隆教授,および同大学院理学研究科の中山耕輔助教らの研究グループは、鉄(Fe)とセレン(Se)からなる原子層超薄膜において高温超伝導を発現・制御することに成功しました。今回の研究では、強誘電体SrTiO3単結晶基板に、厚さを原子レベルで制御したFeSeの高品質薄膜(図1)を作成しました。この原子層超薄膜に対して、角度分解光電子分光法を用いてその電子状態を精密に測定した結果、1層のFeSeにおいて、過去の研究で報告された超伝導の証拠となる超伝導ギャップを観測し、超伝導ギャップの温度依存性からTcが60 K付近にあることを確認しました。また、2層以上の多層膜では、作成後そのままの状態では超伝導は起きないものの、薄膜表面にカリウムを吸着させて電子量を調整することで、50 K付近の高温超伝導を発現させることに成功しました。また、Tcと電子量の関係が、銅酸化物高温超伝導体で観測されていると同様なドーム構造を形成することも見出しました。この成果は、様々な新しい量子効果が期待される2次元電子系における超伝導発現機構の解明を進めるのみならず、応用の立場からは、原子レベルのサイズを持ち超高速・省エネルギーで動作する究極の超伝導ナノデバイスの実現に大きく道を拓くものです。
 研究成果の詳細は、英国科学誌 Nature Materials に2015年6月1日付けでオンライン掲載されました(DOI:10.1038/nmat4302)。
 本成果は一部、新学術領域研究「原子層科学」の科学研究費によるものです。

問合せ先:東北大学原子分子材料科学高等研究機構 菅原克明 助教
                        高橋 隆 教授
     東北大学大学院理学研究科       中山耕輔 助教



2015年4月10日
グラフェンの電子状態を制御することに成功

 東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ(清水亮太助教、菅 原克明助教、高橋隆教授、一杉太郎准教授)は、グラフェンを二層重ねた物質 (二層グラフェン)の間にカルシウム原子を挿入(サンドウィッチ)した二層 グラフェン化合物について、それを形成する下地基板の特性を利用して性質を 改変することに成功し、電荷密度波が生じていることを明らかにしました。 この研究の詳細は、英国の学術誌「Physical Review Letters」に2015年4月4 日に掲載(DOI: 10.1103/PhysRevLett.114.146103)されました。  本研究成果の一部は、新学術領域研究「原子層科学」の科学研究費によるものです。

問合せ先:東北大学原子分子材料科学高等研究機構 菅原克明 助教
2015年4月3日
グラフェンナノリボンからナノチューブの合成に成功

A01班(合成班)の坂本 良太助教(東京大学大学院理学系研究科化学専攻) は有機分子・金属原子および金属イオンからボトムアップ的に合成される原子 層物質「ボトムアップ型ナノシート」において、光機能性の創出に初めて成功 しました。有機ジピリン配位子と亜鉛イオンから構成されるジピリン亜鉛錯体 ナノシートはボトムアップ的手法により容易に大面積化でき、半導体透明電極 に貼付するだけで光電変換系の光負極として機能することを見出しました。本 研究は2015年4月2日付で英国学術誌「Nature Communications」に掲載されま した(http://www.nature.com/ncomms/2015/150402/ncomms7713/full/ncomms7713.html)。 グラフェンをはじめとする、結晶性層状化合物由来の「トップダウン型」ナノシートに比べ、研究が大きく遅れている「ボトムアップ型」ナノシートですが、本研究はその応用可能性についての力強いメッセージとなることが期待されます。

問合せ先:東京大学院理学系研究科化学専攻 坂本良太 助教

掲載誌: 化学工業日報 4月3日、 日経産業新聞 4月3日

2015年3月
赤外線フォノン誘起による、層状物質の層間距離の縮小を第一原理計算で予測

理論班 連携研究員 産業技術総合研究所 宮本良之六方晶窒化ホウ素(hBN)の層間距離を、赤外レーザーによる光学フォノン励起により縮めることができることを理論的に予測した。層間距離の縮む原因は、光学フォノン誘起によりイオン極性が異なるボロンと窒素原子がそれぞれ反対方向に動くことで層ごとに平行な双極子が発生し、それが層間をひきつける引力をなしているためで、今後、層間での特異な化学反応をIRレーザー照射下で起こすなどの実験的研究へ展開を期待している。なおレーザー強度が高すぎると電子励起を伴い層間距離が逆に広がってしまうことも分かった。この研究の詳細は、米国物理学会の学術誌「Physical Review Letters」(DOI: XXXXX)に掲載された。 この研究は同じ産総研の宮崎剛英グループリーダー、四川大学Hong Zhang教授、およびマックスプランクStructure and Dynamics of Matter研究所 Angel Rubio教授との協力研究によるものである。

問合せ先:産業技術総合研究所 宮本良之 グループリーダー
Email: yoshi-miyamoto.at.aist.go.jp (.at.の部分を@と読み替える)

掲載誌:
日刊工業新聞3月25日(木)29面: 「層状物質の微小空間:レーザーで圧縮振動」
2015年2月4日
シリセンの基盤電子構造解明

東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授、一杉太郎准教授、菅原克明助教は、豊田中央研究所の中野秀之主任研究員らの研究グループと共同で、グラフェンを越えると期待されている新材料シリセンの層間化合物CaSi2 を合成し、その電子状態の解明に世界で初めて成功しました。その結果、シリセンが見かけ上の質量がゼロとなる電子状態を持つことが明らかとなりました。この成果は、超高速電子デバイスへの応用が期待されているシリセンの基盤電子状態の理解と、その材料設計および機能開拓に大きく貢献するものです  この研究の詳細は、ドイツ国科学誌「Advanced Materials」に2015年2月4日に掲載(DOI:10.1002/adma.201403077)されました。  本研究成果の一部は、新学術領域研究「原子層科学」の科学研究費によるものです。

問合せ先:東北大学原子分子材料科学高等研究機構 菅原克明 助教



掲載誌:科学新聞2015年1月23日、日刊工業新聞2014年12月29日

2014年5月29日
グラフェンデバイスの動作中表面電位をピンポイントで測定することに成功~精密なグラフェンデバイス設計が可能に~

東北大学電気通信研究所の吹留博一准教授・末光真希教授 らのグループは、尾嶋正治特任研究員(東京大学 放射光連携研究機構・名誉教授)・長汐晃輔准教授(東京大学院工学研究 科)・堀場弘司(東京大学放射光連携研究機構、現 KEK物質構造科学研究所)・永村直佳助教(東北大学多元物質科研究所)のグループと共同で東京大学放射光アウトステーションBL07LSU(SPring-8)にある三次元ナノESCA装置(空間分解能70 nm)を用いて、動作中 のグラフェン電界効果トランジスタ(GFET)の狙った場所の電位をピンポイントで測定する技術の開発に始めて成功しました。ポストシリコン材料の一つであるグラフェンはシリコンと異なる物性を有する為、GFETは実用化が困難でした。しかし、今回の測定技術はGFETの精密なデバイス設計を可能にするものであり、GFETの実用化を大きく前進させるものです。この研究の詳細は、Applied Physics Express(APEX)(日本応用物理学会発行)に2014年5月28日にオンライン掲載の論文において報告されました。

問合せ先:物質・材料研究機構 永村直佳 研究員(2015年5月現在)


  ・日経産業新聞2014年6月26日掲載(新聞報道)
「基板上グラフェン 性質を作りわけ」
http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/labs/sor/HP_harima/harima_new/images/20141014sankei.jpg

・マイナビニュース掲載(その他媒体)
「東北大、Si基板上に3次元集積的な成長でグラフェン物性の作り分けに成功」
http://news.mynavi.jp/news/2014/06/05/062/

・サイエンスポータル掲載(その他媒体)
「グラフェンのデバイス実用化に前進」
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2014/06/20140602_01.html

2014年5月5日
高い電気伝導性を持った3次元グラフェンの開発に成功

 東北大学 原子分子材料科学高等研究機構の伊藤 良一 助教、陳 明偉 教授らのグループは同研究機構の谷垣 勝己 教授、田邉 洋一 助教と高橋 隆 教授、菅原 克明 助教の協力を得て、新規材料「3次元ナノ多孔質グラフェン」の開発に成功しました。これまで3次元炭素材料は非結晶性不連続体(粉状)のため電気をほとんど通さなかったのに対して、今回結晶性の高い1枚の繋がった3次元グラフェンシートを作成することで高い電気移動度を達成し、シリコンに替わる3次元デバイスの開発が期待されます。 この研究の詳細は、ドイツ国化学誌「Angewandte Chemie International Edition」に2014年5月5日に掲載(DOI: 10.1002/ange.201402662)されました。  本研究成果の一部は、新学術領域研究「原子層科学」の科学研究費によるものです。

問合せ先:東北大学原子分子材料科学高等研究機構 伊藤良一 助教
                        菅原克明 助教


掲載誌:
科学新聞4月25日
2013年11月25日
総括班評価委員(連携研究者)である榎敏明先生が、 Ioffe研究所名誉所員に選出

おめでとうございます。総括班の評価委員(連携研究者)である榎敏明先生が このたびロシア科学科学アカデミーIoffe研究所 (http://www.ioffe.rssi.ru/index_en.html) より、名誉所員に選ばれました。ヨッフェ研究所は、半導体研究などで多く の成果を出している著名な研究所であります。 メダルの授与と記念講演会が来年10月にSt. Petersburgの同研究所 で行われ ます。
Ioffe Instituteの名誉所員のメダル授与と講演は10月31日のIoffeの誕生日に開催されます。


2013年10月25日
A02班(物性班)の鴻池貴子博士が日本物理学会第8回若手奨励賞を受賞

A02班(物性班)の東京大学物性研究所長田研究室助教の鴻池貴子博士が日本物理学会第8回若手奨励賞を受賞されました。各層がディラック電子系になっている層状有機結晶を利用して、単原子層のグラフェンでは困難な比熱測定を成功させ、また小さなランダウ準位間隔を反映した巨大ネルンスト効果を発見するなど、ディラック電子系の熱物性研究への貢献が認められたものです。授賞式と記念講演会は2014年春の日本物理学会年次大会においてが行われます。


2013年10月10日
グラフェンナノリボンからナノチューブの合成に成功

名古屋大学大学院理学研究科の研究グループ(Lim Hong En (大学院生)、宮田耕充助教、北浦良准教授、篠原久典教授)は、カーボンナノチューブをナノサイズのリアクターとして用いた多環芳香族分子 (PAH)の熱融合反応によってカーボンナノチューブの構造選択的な合成に成功しました。また、これがグラフェンナノリボンのツイスト構造を介した特異な 反応メカニズムで起きていることを明らかとしました。この研究の詳細は、英国の学術誌「Nature Communications」に2013年10月4日に掲載(DOI: 10.1038/ncomms3548)されました。

問合せ先:名古屋大学大学院理学研究科 篠原 久典 教授



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NHK サイエンスZERO No. 509 「身近な元素で未来が変わる ナノ炭素素材」に、篠原久典教授(名古屋大学、本領域A0班連携研究者)が出演。 6月28日夜11時30分から放送。 http://www.nhk.or.jp/zero/sp/contents/dsp509.html
東北大学・菅原克明助教の光電子分光装置を用いたグラフェン関連の研究が、「未来の起源」に取り上げられます。 放送日は、地上波TBS(関東地域 愛知 三重 岐阜 )6月28日(日)22:54〜 。 BS−TBS(衛星放送で全国)7月5日(日)20:54〜です。 http://www.tbs.co.jp/program/mirainokigen.html

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