MOCVD法によるゲルマニウム(Ge)ドット,シリコンゲルマニウム(SiGe)の作製
このグループはMOCVD装置によりゲルマニウム(Ge)ドット,シリコンゲルマニウム(SiGe)などを作製し,その評価をしています.
MOCVDとは?
有機金属気相成長法(MetalOrganic Chemical Vapor Depositon)と言って,加熱した基板表面で原料ガスを熱分解し,表面反応によって薄膜を形成する方法です.原子1層分単位で薄膜の厚さを制御でき,分子線エピタキシー法(MolecularBeam Epitaxy,MBE)とともに先端エピタキシーとして認められています.
MOCVD装置外観 結晶成長中 MOCVD法による薄膜形成のメカニズム
(←あの真っ赤になっているところではこんなことが起きています)
ゲルマニウム(Ge)ドット作製とその評価
MOCVD装置により作製したGeドット
半導体デバイスのサイズがナノメーター(10-9m)の大きさになるとこれまでとはまったく違う現象(量子効果)が現れるようになります.つまり,その部分では電子は閉じ込められてしまい"原子のような"電子状態が実現されます.量子ドットとは3次元的に電子を閉じ込める構造であり,電子1つ1つのふるまいを制御することが可能な,究極の量子構造です.
量子ドットは,
・量子ドットレーザーや
・単電子デバイス
・量子コンピュータ
などへの応用が期待されていて,現在大変注目を浴びています
本研究室ではシリコン基板上にゲルマニウムのドットを作製しています.現在は製作条件を変えてドットのサイズ,密度などの制御しようとしています.今後は作製したドットの光学的,電気的特性についても調査していく予定です.
シリコンゲルマニウム(SiGe)の作製 (予)
ガリウム砒素(GaAs)に替わるGHz帯対応の新・半導体材料として注目を集めているシリコンゲルマニウム(SiGe)の作製も行なっていく予定です.
携帯電話に用いられるような高周波用半導体材料にはGaAsがよく用いられています.確かにGaAsは高速半導体材料ですが,高価な物質であるためコスト面で不利です.
その点SiGeはGaAsに匹敵する性能を持ち,コスト面ではGaAsより断然有利になる物質であるため,現在非常に注目を集めています.
これまでSiGeはMBE法で作られることが多かったのですが,MBE装置は装置が大掛かりになってしまい上に書いたようなコスト面の利点を失いかねません.そこで本研究室ではMOCVD法によって作製することで,低コストの高周波用半導体材料を作製することを目的としています.
わからなかったことがあれば下記のメールアドレスまでご連絡下さい.また,直接研究室に見学にきてもOKです.
グループメンバー
大竹:ohtake@tube.ee.uec.ac.jp
和田:wada@tube.ee.uec.ac.jp