木村研究室の研究実績


熱拡散法によるErのドーピング 熱拡散法は熱平衡下でErをドーピングし、スペクトルが狭くなる。 しかし、母材半導体の奥深くまでドープすることが困難である。 そこでAlと一緒にドープすることでErを奥深く、均一にドープ出来る。 また熱拡散での雰囲気は酸素を用いることが有効とされているが、母材のSiを酸化させると絶縁化してしまう。

Al有り、Ar+O2雰囲気アニール試料のスペクトル

  • Ar+O2雰囲気アニール
      (a)熱拡散法でErをドープ
      1. PL発光を観測した。
        ⇒Si中に拡散したErからの発光波長は1.5322μmである。
      2. スペクトルが非常に狭い。
        FWHM:0.7nm
      3. 発光強度の温度クエンチングが小さい。
        λ=1.535μmは室温でも発光を観測。

      (b)Alと一緒にErを熱拡散

      1. PL発光を観測した。
        ⇒Si中に拡散したErからの発光波長は1.5320μmである。
      2. スペクトルが非常に狭い。
        AlなしよりFWHMが0.1nm細い。
      3. 発光強度が増大。
        Alなし試料のλ=1.5322μmのピークと比較して約20倍

    半導体中の希土類イオンの発光における蛍光寿命と エネルギー伝達機構

    イットリビウム(Yb)ドープポーラスシリコン(PS)は間接励起に 特有の大きな温度クエンチングを示す.ここでPSからYbへの エネルギー伝達を考える際,母材であるPS中の電子正孔対の寿命と Ybの蛍光寿命とYbの発光強度との間に何らかの相関性があると 考えられる.

    エネルギーの流れの時間的な移り変わりを定量的に評価するために, 発光強度が90%落ちる時間を蛍光寿命の測定より求め, 母材と希土類の結果を互いに比較した図を下に示す.

    PSとYbの発光強度が90%落ちる時間の温度依存性 (Ybの発光強度の温度依存性)

    上の図よりPSとYbの温度クエンチングが始まる温度と比較してみると, PS曲線(0.7um)とYbの曲線が交わるのがほぼ100kの所であり, PSとYbの90%落ち時間の大小関係によってPSからYbへのエネルギー 伝達確率を左右する温度クエンチングが起きると推測できる.