専用計算機の開発 (1996)

電気通信大学・電子工学科
助教授・齋藤 理一郎
rsaito@ee.uec.ac.jp

本共同研究は、(株)画像技研 (代表: 竹内 繁氏, 調布市多摩川 3-36-19, 電話 0424-87-5003, WWW: http://www.cnet-tc.or.jp/i/itl)と、科学計算の線形計算を高速 に行う専用計算機の開発を目的に、平成 8 年度 4 月からスタート した共同研究である。ここで専用計算機の開発と呼んでいるのは、 計算部分を機能化しその機能をもっとも高速に行う集積回路の設計 とそれを汎用の計算機に接続する装置の開発を指している。

(株)画像技研は、天体物理学の動力学のシミュレーション専用チッ プ(MD-1) の開発で、計算物理学の分野では知らない人がいないほ ど世界的に有名で実績のある会社である。本共同研究ではその設計 ノウハウを量子化学及び物性物理学に応用し、最近の計算機の進歩 によってより重要で巨大になっている線形計算ライブラリ専用の LSI (巨大集積回路) の開発をおこなうための基礎研究を行う。大 学側の役割は、実際の設計と密接な関係を保ちつつ、計算科学の分 野で何が求められ、具体的にどう解決するかの研究成果を提供する ことにある。

線形計算では、その空間の次元を n とするとn3 以上の計算 量を要する計算需要があり、計算機の急速な進歩をもってしてもそ の次元数 n を安易にあげることができない。また最近の並列計 算機のための線形計算のアルゴリズムは、演算装置間の通信が律速 になっていて、並列化度をあげることが難しく演算装置を多重化し てもそれだけの高速化が実現できていない。さらに並列計算機のよ うな巨大装置の利用環境は限られている。このような問題を本共同 研究によって抜本的に解決することが期待される。

最初の年度は、行列の対角化プログラム(3 重対角化としてハウス ホルダー変換、固有値を2分法で求め、固有ベクトルを逆反復法に よって求める方法)に限って問題を整理し機能を分けることを行っ た。得られた機能が十分であることを確認するため計算機上でのシ ミュレーションをおこなった。また掛け算の回数を整理し、計算時 間、並列化とともに最初のハウスホルダー変換に問題があることが 理解できた。

この初年度の成果をもとに、LSI の設計を行うことを計画中である。

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