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科研費特定領域研究(A)
フラーレンナノチューブネットワーク
ニュースレター No.1 (1999) pp.19-21.

ナノチューブおよびナノカプセルの合成,
物性制御とエレクトロニクスへ応用

代表者 齋藤 弥八(三重大・工学部)
分担者 畑 浩一 (三重大・工学部)

研究内容と目標

					
 1. カーボンナノチューブの成長機構,構造の解明
	(カーボンナノチューブとナノカプセルの関係)
				  ↓
	 ● カーボンナノチューブのトポロジー制御(直径,螺旋)
	 ● カーボンナノチューブの高収率合成

 2. BCNへテロナノチューブの合成と構造解明
				  ↓
	 ● 異種元素のドープによるナノチューブの物性制御

 3. ナノチューブの応用
	 ● 電界放出型電子源,二次電池負極材料,ガス貯蔵 etc.
					

研究計画・方法

1. カーボンナノチューブの成長機構,構造の解明

	単層ナノチューブ(図1)を中心に実験的研究を行う
	  合成法…アーク放電,レーザー蒸発など
		  ○ 触媒金属の探索
		  ○ 雰囲気ガスの圧力,種類,温度,触媒の最適化
				  ↓
		ナノチューブの構造(直径,螺旋)解析
				  ↓
			 成長機構の解明
				  ↓
		高収率合成,単一構造(直径,螺旋?)のナノチューブ試料の作製
	  評価法:電子顕微鏡法,X線回折法,ラマン散乱分光法など
		

図1 ニッケル超微粒子から成長する単層ナノチューブの透過電子顕微鏡像

2. BCNへテロナノチューブの合成と構造解明

		     アーク放電 …電極:ホウ化物,ガス:窒素など
	合成法 {
		     レーザー蒸発…ターゲット:BN, ホウ化物など
				         キャリアガス:窒素,アルゴンなど
				↓
		ヘテロ系に特異なネットワークトポロジーの探索(図2)
		BやNの空間分布とその化学状態の分析を行う
	評価法:
	 高分解能電子顕微鏡法と電子エネルギー損失イメージングフィルター
		(これ以外に有効な手法なし,本研究遂行上必要不可欠)
		

図2 BNナノチューブ先端の透過電子顕微鏡像と構造モデル
平らな先端構造(上)および三角形の先端(下)を持つBNナノチューブ

3. ナノチューブの応用

		電界放出エミッタ  →  電子源,ディスプレイへの応用(図3)
	研究手法:
	 ○ 電界放出顕微鏡法…電子源基礎特性の評価(図4)
	 ○ 電界イオン顕微鏡法…原子分解能での先端構造の観察
					↓
	電子放出特性,ナノチューブ先端構造の解明
	エミッタに適したナノチューブの探索と大量合成(1t/年)
		

図3 カーボンナノチューブ冷陰極を用いた高電圧型蛍光表示管

先端の閉じた多層ナノチューブ 先端の破れた多層ナノチューブ 単層ナノチューブの束
スケールバーはスクリーン上で10mmを表わす(ティップ-スクリーン間距離=60mm)

図4 電界放出パターン