研究代表者:平山 博之(東京工業大学・総理工・材料物理科学 助教授)
研究分担者:大島 義文(東京工業大学・総理工・材料物理科学 助手)
研究分担者:高柳 邦夫(東京工業大学・総理工・材料物理科学 教授)
研究の目的
グラファイト層に被覆された
STM深針をグラファイト表面に原子接触させた後ゆっくり引き離した時、STM深針−表面間に単層カーボンナノチューブが形成されることがある。本研究の目的は、超高真空電子顕微鏡中で動作する走査トンネル顕微鏡(TEM−STM)を用いた原子分解能その場観察により、STM深針−グラファイト表面間に単層カーボンナノチューブが形成される過程を明らかにすること、およびこの時できたカーボンナノチューブの電気伝導性をその場観察することにより単層カーボンナンノチューブの構造と電気電気伝導特性の相関を実験の立場からあいまいさなく明らかにすることである。研究計画
過程の観察
現在
STM深針としては、電気化学的な方法によって容易に先端を先鋭化できる多結晶タングステンが広く用いられている。しかし多結晶タングステンSTM深針をグラファイト層で皮膜し、これを対向するグラファイト表面に接触させた場合、STM‐深針‐表面間に単層カーボンナノチューブが形成される確率は少なく、また出来たチューブもキンクを含み、直線性が悪い。一方STM深針‐表面間に直線的な単層カーボンナノチューブを高効率で作成することは、SWNT形成過程研究および構造と電気伝導性の研究上必要である。本研究ではこの問題に対し、アーク放電を用いたカーボンナノチューブ作成において触媒作用のある白金、イリジウムなどの金属を用いて原子レベルで先端が先鋭化したSTM深針を作る技術を確立する。触媒金属STM深針の先鋭度をTEMで評価した後、これにグラファイト皮膜をかぶせグラファイト表面との原子点接触による直線性の良好な単層カーボンナノチューブ形成にチャレンジする。この過程のその場、原子分解能TEM‐STM観察によりSTM深針‐グラファイト表面間での単層カーボンナノチューブ形成機構、およびこれに対する触媒金属の果たす役割を明らかにする.STM
深針は非常に小さな曲率半径を持つ。このため通常のアーク放電に比べてはるかに小さな電圧でSTM深針‐表面間の極微小空間に電流量の小さなアーク放電を誘起できる可能性がある。この利点を活かし、現在カーボンナノチューブ形成方法として最も広く採用されているアーク放電による方法におけるチューブ形成過程をTEM‐STMにより直接観察することを試みる。触媒金属