Emacsは，カレントバッファの任意の連続する部分を操作する多くのコマンド を用意しています．そのようなコマンドが操作を行なうテキストの範囲を指定す るには，その一方の端にマークをおき，もう一方の端にポイントを移します．ポ イントとマークにはさまれたテキストはリージョンと呼ばれます．リージョンの 境界を調整するためにポイントやマークを移動することができます．どちらを早 く設定したか，テキスト中にどちらが早く出てくるかは問題ではありません．
一度マークが設定されると，他の場所で再び設定されるまで残ります．テキス トがバッファの中で挿入や削除をされても，マークは前の文字に固定されたまま です．Emacsの各バッファには，それぞれにマークがあるので，前に選択した バッファにもどったときには，前と同じマークが残っています．
C-y (yank)やM-x insert-bufferといったテキストを挿入
する多くのコマンドでは，挿入したテキストのポイントのある端とは反対の端に
マークをおきます．これで挿入されたテキストがリージョンに含まれることにな
ります．
リージョンの設定以外に，マークはあとでもどる可能性のある位置を覚えてお
くことにも使えます．これに便利なように，Emacsは前においた16箇所のマーク
の位置をmark-ringに記録しています．