平成11年度第2回研究会報告
11月10〜 13日
齋藤 弥八(三重大工)
本特定領域研究の平成11年度第2回研究会(公開シンポジウム)が平成11年11月10日から13日まで三重県度会郡二見町の二見館で開催されました。会場となった二見館の別館(賓日館)は,かつては皇族方が伊勢神宮参詣の折に御休憩宿泊に使われた建物で,文化庁の有形文化財に指定されています(写真1)。この建物は純和風であるため,会議室も畳敷きで,少し高めの座卓と座椅子を並べたものとなり,寺子屋風教室の趣でした(写真2)。
参加者は総計で64名で,その内,領域外からの参加者が13名ありました。研究発表の内容は下記のプログラムの通りであります。今回はA01, A04, B01 および C01班を中心に話題が提供され,活発な討論が行われました。特に,今回の研究会の特徴として,領域外から3名の先生を招待講演者として出講頂頂いたことと,若手セッションとして若手研究者の積極的発表の場を設けたことが挙げられます。
また,研究会終了後,ナノチューブディスプレイの研究開発をリードしている伊勢電子工業の大宮工場の見学が実施され,約20名の方がこれに参加されました。
写真1
写真2
特定領域研究A「フラーレン・ナノチューブネットワーク」
平成11年度第2回研究会プログラム
1日目(11月10日)
13:50-14:00 オープニング/事務連絡
14:00-14:30 後藤仁志,大澤映二
「理論計算によるキラルフラーレンおよびバッキーナノオニオンの探求」
14:30-15:00 若林知成
「環状炭素クラスターのマトリックス分離分光」
15:00-15:30 上野啓司,飯泉謙一,内野康訓,斉木幸一朗,小間篤
「低速電子エネルギー損失分光法によるフラーレン薄膜の物性探索」
15:30-15:50 休憩(コーヒーブレイク)
15:50-16:20 安藤義則,趙新洛,坂東俊治
「ナノグラファイバーの作製と物性」
16:20-16:50 畑浩一,齋藤弥八
「カーボンナノチューブからのマジッククラスターC20+の放出」
16:50-17:00 休憩
17:00-18:00 若手セッション“ナノチューブ研究のフロンティア”
菅井俊樹 「高温パルスアーク放電法による単層ナノチューブの生成」
A.
Hassanien 「カーボンナノチューブのSTM/STS」
坂東俊治 「単層カーボンナノホーン粒子へのドーピング」
2日目(11月11日)
8:40-9:10 京谷 隆,馬 志新,富田 彰
「Y型ゼオライト細孔中へのナフタレンからの炭素析出」
9:10-9:40 片浦弘道,大塚洋介,石垣敏信,鈴木信三,真庭 豊,阿知波洋次
「ナノチューブの成長機構:触媒の役割」
9:40-10:10 佐藤義倫,篠田弘造,バラチャンドランジャヤデワン,田路和幸,粕谷厚生,仁科雄一郎
「水熱処理法を用いた多層ナノチューブの精製」
10:10-10:30 休憩(コーヒーブレイク)
10:30-11:00 市田正夫 濱中泰
「単層カーボンナノチューブの非線形光学分光」
11:00-11:30 鈴浦秀勝,安藤恒也
「カーボンナノチューブにおける電子・格子散乱」
11:30-12:00 真庭豊,熊沢吉徳,斎藤由美,藤秀樹,池尻英雄,片浦弘道,阿知波洋次,藤原明比古,壽榮松宏仁
「炭素ナノチューブにおけるガス吸蔵」
12:00-13:40 昼休み
13:40-14:30 (招待講演)緒方啓典
「カーボンナノチューブのNMR」
14:30-15:00 木塚徳志
「カーボンフラーレン,ナノチューブの変形の電子顕微鏡観察−変形試料ホルダーの改造」
15:00-15:30 不藤平四郎,岩佐義宏,片浦弘道,阿知波洋次
「ドープされたカーボンナノチューブの電子状態」
15:30-15:50 休憩(コーヒーブレイク)
15:50-16:40 (招待講演)阿知波洋次
「フラーレンからナノチューブへ,その接点」
16:40-17:10 丸山有成,本橋 覚,緒方啓典
「C60とCeの高温反応生成物の磁性と構造」
17:10-17:40 久保園芳博,井上崇,江村修一,柏野節夫
「金属内包C60の精製・単離と構造・物性研究の現状」
18:00〜20:00 懇親会
3日目(11月12日)
8:40-9:30 (招待講演)中嶋 敦
「外接フラーレン−ナトリウム気相クラスターの電子構造」
9:30-10:00 菊地耕一,兒玉健,坂口幸一,楠田将也
「金属フラーレンの電子状態」
10:00 領域代表挨拶,研究会終了
希望者は伊勢電子工業(株)大宮工場の見学