略称はバッファ内でポイントの直前にあって,自己挿入の区切り文字 (SPC,コンマなど)が入力されたときに展開されます.略称に続けて区切 り文字を打つ方法が最もよく使われます.
略称の展開にあたっては大文字,小文字の区別が保存されます.`foo'を
`find outer otter'に展開する場合,`Foo'は`Find outer
otter'に,変数abbrev-all-caps
の値によって`FOO'は`FIND
OUTER OTTER'もしくは`Find Outer Otter'(non-nil
のとき前者)に
展開されます.
略称の展開の制御には,以下の2つのコマンドを使います.
abbrev-prefix-mark
).
expand-abbrev
).このコマンドは
Abbrevモードでなくても使えます.
接頭辞をつけた略称を展開するには次のようにします.たとえば,
`cnst'が`construction'に展開されるとき,これを用いて
`reconstruction'を入力しようとします.このときrecnstと入力し
ても働きません.recnstが前もって定義された略称ではないからです.
ここで接頭辞`re'と略称`cnst'の間でコマンドM-'
(abbrev-prefix-mark
)を使います.まず`re'を挿入し,次に
M-'を入力します.すると,そのコマンドを実行したことを示すためにバッ
ファにマイナス記号が挿入されます.それから,略称の`cnst'を挿入しま
す.ここでバッファは`re-cnst'になっています.そこで区切り文字を挿入
すると`cnst'を`construction'に展開します.M-'の機能によっ
てこの時点でマイナス記号は消去されます.こうして得られたテキストは望んで
いた`reconstruction'になっています.
展開された語ではなく略称そのもののテキストが欲しいときには,C-q を使って後ろに区切り文字を挿入します.foo C-q -と入力すると, `foo-'が得られます.
間違って略称を展開した場合には,M-x unexpand-abbrevを用いて取り
消すことができます(展開したテキストを元の略称に戻します).C-_
(undo
も,展開を取り消すのに使うことができます.しかし,まず略称の
後ろの区切り文字の入力を取り消します.
M-x expand-region-abbrevsは定義された略称をリージョン中で探し, 見つかった略称を各々に展開します.このコマンドは,Abbrevモードにするのを 忘れたまま略称を使ってテキストを入力していた場合に有効です.また,特別な 略称定義の組を用意して一括して文字列を置き換えるのにも便利です.このコマ ンドはAbbrevモードでなくても使えます.