コマンドの使用不能化とは,そのコマンドを実行する前に確認をしてくるよう にする機能です.この目的は,初心者が誤ってコマンドを実行して混乱してしま うことを防ぐことにあります.
コマンドの使用不能化の直接のメカニズムは,そのコマンドのLispシンボルに
non-nil
の値を持ったdisabled
プロパティをつけることです.プ
ロパティは通常,利用者の`.emacs'ファイルに次のようなLisp式を書いて
設定します.
(put 'delete-region 'disabled t)
disabled
プロパティの値が文字列なら,このコマンドが使われたとき
のメッセージにこの文字列も含まれます.
(put 'delete-region 'disabled "Text deleted this way cannot be yanked back!\n")
利用者は直接`.emacs'ファイルを編集するか,`.emacs'ファイルを 編集するM-x disable-commandを使ってコマンドを使用不能にすることが できます.See section 初期化ファイル,.emacs.
Emacsで使用不能にされたコマンドを対話形式で呼び出そうとすると,画面に コマンド名,その説明,次の行なう操作についての指示が表示されたウィンドウ が作られます.その後Emacsは,そのコマンドを実行すべきかどうか,使用可能 にするか,キャンセルするかを聞いてきます.使用可能にする場合は,これを永 久に使用可能にするか,そのセッションだけにするかを聞いてきます.永久に使 用可能にすると指定した場合は,利用者の`.emacs'ファイルが自動的に編 集されます.M-x enable-commandは,コマンドを永久に使用可能にするい つでも使えるコマンドです.
コマンドが使用不能かどうかは,それを呼び出すのにどのキーが使われるかに か変わりません.これはそのコマンドがM-xを使って呼び出される場合に も当てはまります.コマンドを使用不能にしても,それをLispプログラムから関 数として呼び出す際には何も影響を与えません.