長方形コマンドは，テキストの長方形の範囲に作用します．すなわち2つの桁 位置と2つの行位置の間のすべての文字に作用します．コマンドには長方形の削 除，削除した長方形のヤンク，クリア，抹消があります．長方形コマンドは，右 側にコメントのあるプログラムのように，いくつかの桁にわかれたテキストや， テキストをそのように整形するのに有効です．
コマンドを使うには，長方形の範囲を指定しなければなりません．これには， 一方の角にマークを，そして反対の角にポイントを設定します．設定した長方形 は，長方形リージョンと呼びます．リージョンの扱いに似た扱いをされるからで す．しかし，ポイントとマークの組はリージョンの指定とも，長方形リージョン の指定とも解釈できることを忘れないでください．これは，扱うコマンドによっ て決まります．
長方形の操作は，2つに分類されます．長方形を削除し移動するコマンドと空 白の長方形を扱うコマンドです．
長方形を消すには2つの方法があります．そのテキストを捨てるものと，それ を直前に削除された長方形として保持するものです．このコマンドは，M-x delete-rectangleとM-x kill-rectangleです．どちらも，それぞれの行 の長方形の範囲内にある部分が消され，その行の右にテキストがあれば，それを 左に移動します．
重要なのは，長方形の削除は，普通の意味の削除ではないことです．長方形は， 削除リングには保持されず，直前に削除された長方形を1つだけしか記録しない 特別な場所に保持されます．なぜなら，長方形のヤンクは連続した線系テキスト のヤンクとまったくことなるので，特別のヤンクコマンドを使うことと，ヤンク したテキストの入れ換えが意味をなさないからです．
長方形の挿入は削除と対です．左上の角をどこに置くかだけを指定します．こ れにはポイントを使って指定します．長方形の最初の行はそこに挿入され，2行 目はポイントの1行下の位置に挿入され，あとも同様です．影響を受ける行の数 は，保持された長方形の高さで決まります．
直前に削除された長方形を挿入するには，M-x yank-rectangleと入力し ます．これを使えば1列に並んでいたリストを2列にすることができます．リスト の後半を長方形として削除し，リストの第1行の横でヤンクすればよいのです．
空白の長方形を扱うコマンドは2つあります．現在のテキストを空白にする M-x clear-rectangleと，空白の長方形を挿入するM-x open-rectangleです．長方形を空白にするのは，それを削除し，同じ大きさの 空白の長方形を挿入するのと同じです．
長方形はレジスタに保持したり，レジスタから取り込むこともできます． See section レジスタへの長方形の保持.