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科研費特定領域研究(A)
フラーレン・ナノチューブネットワーク
ニュースレター Vol.2, No.2 (2000) p.45

交流 


フラーレン若手の会

(都立大院理)小林 郁

 

日本でフラーレン研究が盛んになって、すでに10年近くの歳月が流れようとしています。当時、学生として研究室のフラーレン研究を立ち上げて来た我々も、各々の進めてきたテーマが一つの節目を迎え、これまでの路線とは異なった新しい独自のテーマをどのようにみつけていくか、頭を悩ませる日々が続いています。

そんな折、学生時代を振り返って今と大きく違うと感じる点は、フラーレン科学の中で分野が細分化したことだと思います。以前は、フラーレン関連のシンポジウムに出かければ、物理・化学・生物さまざまな分野で活躍される先生方が、最先端の手法を用いた研究成果を自ら発表され、我々学生にとっては、フラーレンだけでなく幅広い分野の勉強ができる絶好のチャンスでした。しかし今は、フラーレンの基本的なことがある程度わかってきたこともあり、我々も含めて発表内容がより専門化したり、研究者数の増加によって、フラーレン科学に携わる研究者が一同に会する機会が減ってきたように感じます。しかし、新しいテーマを切り開くためには、これまで行ってきた研究テーマから外に目を向け、いまフラーレン科学では何が起こっているのか、何が面白いのかを自分自身で見つける必要があります。また、最近研究に参入された学生さんにとっても、研究のきっかけやこれまでの経緯を知ることにより、現在行っている研究の面白さが倍増するものと思います。

そこで、有志が集まり平成113月にフラーレン若手の会を結成しました。本会はセミナーの開催が主な活動で、研究テーマに節目を迎えている、或いは迎えようとしている若手研究者、フラーレン科学をリードされてきた最先端の研究者、双方の話題提供により、知識の吸収だけでなく活発な議論を行うこと、また参加者同士の研究交流を目的としております。本会は有志が集まって結成した独立組織ですので、経済的基盤は全くもっておりませんが、幸いなことに本年度は日本化学会および本特定領域研究よりご支援いただきました。第1回セミナーは平成117月に都立大学にて開催し、遠くは京都や新潟から50余名が集まり、ご好評をいただきました。第2回は、我々の提案した「新展開に向けたフラーレン科学の最前線」の企画が採択され、日本化学会年会の特別企画として平成12329日午後に日本大学船橋キャンパスにて開催予定です。今後、本特定領域研究関連の研究者および学生さんにも多くご参加いただき、より活発な活動を展開していきたいと考えております。