変数(variable)とは値を持っているLispシンボルのことです．このシン ボル名は，`変数名'とも呼ばれます．変数名にはどんな文字が含まれていてもか まいませんが，習慣としてハイフンで区切られた単語を使います．変数には，そ れがどんな値を持つべきか，その値がいかに使用されるのかを説明する文字列を 付けることができます．
Lispでは，変数はどんな種類の値でも取ることができますが，Emacsで使用す
るほとんどの変数にはある定まったタイプの値が必要です．値が文字列でなけれ
ばならなかったり，数でなければならなかったりします．ときどきある変数が
"non-nil"のときに，ある特徴がオンになっているといったりしますが，
これは変数の値がnilであるとその特徴はオフですが，他の値のときには
オンであるという意味です．その特徴をオンにするために習慣的に使用する値は
tです(変数を設定するには何か値を選ばなくてはなりません)．
どんなLispプログラムでもそうですが，Emacsは，その内部状態を記録するた めに多くのLisp変数を使用します．しかし利用者にとってもっとも興味のある変 数はカスタム化のためのものです．Emacsは通常はこれらの変数の値を変えませ ん．その代わりに利用者がその値を設定し，それによってEmacsのあるコマンド の動作を変えたり制御したりします．このような変数は"オプション"と呼ばれ ています．大部分のオプションは，このマニュアルで説明しています．また，変 数索引(see section Variable Index)にまとめて示されています．
オプション変数の例としてfill-columnがあります．これは詰め込みコ
マンドで使用される右マージンの位置(左マージンから数えた文字数)を指定する
ものです(see section テキストの詰め込み)．