GNU EmacsはASCIIの文字セットを使っていますが,それには128の異なった文 字コードがあります.これらのコードの中には,`a'や`='のようなグ ラフィックのシンボルに割り当てられているものもあります.それ以外はすべて コントロール文字です.たとえばControl-a(略して`C-a'といいます) などです.C-aの名前は,CTRLキーを押したままで,aを押し て入力するところからきています.C-aとC-Aの2つには違いはなく, 全く同じ文字として扱われます.
コントロール文字の中には,特別な名称のついているものもあって,それらは, RET,TAB,LFD,ESCといった特別なキーを使って入力 します.スペースは,以下の文章では普通SPCとなっています.もっとも これは,厳密にいえば空白になるグラフィック文字です.
Emacsは,それぞれの文字にさらに1ビット加えて,7ビットのASCIIコードを8 ビットのコードにしています.これによって,256のコマンドの文字が使えます. あとからつけ加えたビットはMeta(メタ)と呼ばれます.ASCII文字はすべてMeta を付けることができます.Metaの文字の例としては,Meta-a(略して M-a),M-A(M-aと同じ文字ではありませんが,通常Emacsでは その2つは同じ意味です),M-RET,M-C-aなどがあります.従 来からM-C-aはC-M-aといわれています.論理的には,CTRLや METAの修飾キーの順序は問題にはなりません.
端末の中にはMETAキーを備えたものもあります.このキーを押しておけ ばMeta文字を入力できます.Meta-aはMETAキーを押したままで aを押すと入力できます.METAキーはちょうどSHIFTキーのよ うに働きます.しかし,このキーにいつもMETAと書いてあるとは限りませ ん.この機能は,他の目的のためのキーの特別なオプションであったりします.
METAキーがないときは,ESCで始まる2つの文字を使って,Meta文 字を入力できます.したがって,M-aを入力するには,ESC a を入力すればいいわけです.C-M-aを入力するには,ESC C-a と入力します.これに慣れているなら,Metaのキーのある端末でESCを使っ てもかまいません.
変数meta-flag
がnon-nil
のときは,端末にMETAキーがあ
るとして扱われます.普通これは,端末の方に従ったtermcapエントリによって
自動的に設定されます.しかし,termcapエントリが違うこともあるので,自分
で設定しておくのがよいでしょう.設定の仕方についてはSee section 変数.
1バイトは8ビットなのでEmacsのバッファも8ビットの文字セットを使っていま す.しかし有効なのはASCII文字だけです.EmacsのバッファのASCIIグラフィッ ク文字は,その文字として表示されます.LFDは改行文字と同じです.改 行文字は,新しい行を開始することにより示されます.TABは,次のタブ ストップ桁(普通は8桁ごと)に移動することによって示されます.他のコントロー ル文字は,その文字のコントロールでないものの前にキャレット(`^')をつ けて示されます.つまりC-aは,`^A'となります.コードが128以上 の非ASCII文字は,8進法のエスケープシーケンスで表します.従って,文字コー ド243(8進法で),つまり入力文字として使われるときにはM-#になるもの は`\243'と表示されます.